中村 智 中村 智 (サトルン)
ショートストーリー

アメリカと傘

20年ほど前、私はロサンゼルスに音楽留学していました。
スクールの近くのアパートを借りていて、毎日徒歩でスクールに通っていました。

ロスには雨期と乾期があり、砂漠の中にあるとはいえ、雨期には日本と同じような程度の雨が降ります。
渡米前に友人から「ロスも雨降るよ」と教えられていたので、傘を持って行きました。

渡米後暫くは乾期で雨が数ヶ月も降らなかったのですが、秋口ごろに雨期に入り、雨が降るようになりました。
で、ある雨の日、傘をさしてスクールへ向かっていると、前から歩いてきた中南米ぽい感じの人に、「Ha! Ha! Ha! Umbrella! Ha! Ha! Ha!」と笑われたのです。

なんだこの人は!と思いながら周りを見ると、傘をさしている人が一人もいません。
土砂降りではなかったけど、日本なら傘をさして当たり前ぐらいの雨が降っていたのにです。

「え、何? アメリカ人って傘ささないの?」と戸惑いを隠せなかったのですが、濡れたくないのでそのまま傘をさしてスクールまで行きました。
まるで晴れた日に雨傘をさして歩いているような恥ずかしい気分でした。

雨が降ってたら普通傘さすだろうと思うのですが、アメリカ人、いや西海岸だけ? 傘はささないのが常識なんだろうか。実は傘はかっこ悪い?

日本だと逆に雨の日に傘をさしてないと、「天気予報見てなかったんだなこの人は」とか思われるぐらいなのに。
文化の大きなギャップを感じた出来事でした。

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