中村 智 中村 智 (サトルン)
ショートストーリー

月と盃

昔は盃の酒に満月を移し出し、眺めるのが風流だったらしい。
嫁がそんな話をしだしたので、満月の夜に試してみた。

盃などというおしゃれなものはなかったので、茶碗に水を入れて月を映してみる。
なかなかうまく写らない。
風もあり、水が波立ってなかなか綺麗に見えない。

風がふっとやんだ時、茶碗の中に綺麗な満月が浮かび上がった。
直接見る月とはちがい、少しゆらゆらと揺れる、綺麗な月だ。

昔の人はこんな風流なことをしていたのか。
庭に池を作るのも、縁側で池に映る月を眺めながら一杯やるのが風流だったらしい。

現代人は忘れてしまった、古代の安らぎだ。
だが、ゲーム等よりもはるかに有意義な時間を過ごせるのは確かだ。

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